第一章

世界最強の新聞"ワシントン・タイムズ創刊

第一章
世界最強の新聞"ワシントン・タイムズ創刊

左翼リベラル勢力に取り込まれた米メディア

 アメリカで聞いた言葉の中で、非常に印象深い言葉が一つある。それは、「アメリカの独立戦争当時、もし今日のワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズのようなメディアが存在していたら、超大国アメリカは誕生していなかったであろう」という言葉であった。

 これは今日の米メディアのひどい横暴ぶりを端的に表した言葉である。

 アメリカは名実ともに世論の国であり、世論に従って政治は動いている。彼らはこれを「世論政治」と呼ぶ。その世論は誰がつくるのか?言うまでもなくメディアである。

 ところが、メディアの言論を規制するような法や力はアメリカにはない。憲法に保障された「言論の自由」があるからである。この自由をよいことに、米メディアは‘言論の放縦(ほうじゅう)’に走った。何を書いても許されるとでも思ったのか、彼らは「言論の自由」を金科玉条(きんかぎょくじょう)として、得意満面で傍若無人(ぼうじゃくぶじん)に振る舞った。彼らの上位にこれを制する権威が存在しないためである。この状況を指して、よく「言論独裁」という言葉が使われる。言論独裁下のアメリカでは、すべての政治家がメティアという拍子に合わせて踊りを踊らなければならないのだ。

 その一方、国家と世界の運命をも左右する巨大メディアは、実際には商売として営まれている。メディアもまた一つの商品であり、ビジネスであるということだ。言うなれば金儲けの手段である。

 読者や視聴者の耳目を集めるにはどうすればいいか、彼らにとって重要なのはただそれだけである。当然、記事や放送の内容は物事を誇大に煽(あお)り立てる方向に引きずられていく。人々を驚かせば驚かせるほど良い記事だと評価される。結果に対して責任を取らなくてもいいのが普通だから、言論は無責任になり、この無責任な言論は必然的に多くの犠牲者と被害者を出す。

 その被害者の中の一人が文鮮明師(と統一教会)であった。

 世界共産化を狙う国際共産主義勢力は、特に一九五〇~五三年の朝鮮戦争以降、メディアの力を自分たちの戦略目的に有利に、巧妙な仕方で利用しようとして、活発な工作活動を行うようになった。左翼思想の持ち主やリベラルな人物たちが計画的に主要なメディアに浸透していった。その結果、米メディアの左傾化、容共化ははっきりと目につくようになり、良識ある人々を憂慮させるまでになった。共産主義勢力は、ほとんど全能のパワーを有するメディアを、実に巧妙に世界共産化戦略の武器として手中に収めたのである。

 左翼勢力に取り込まれた代表的なメディアが「ワシントン・ポスト」紙であった。

 この新聞はワシントンにウォーターケート事件が起こるや、保守反共路線を堅持していたニクソン大統領に連日猛攻を加えた。ワシントン・ポストこそは、歴史に例を見ない米議会の現職大統領弾劾(だんがい)決議に世論を導いていった主役であった。アメリカのすべてのメディアはこれに歩調を合わせ、流行に便乗した。この事件を契機として、ワシントン・ポストは超特大新聞として発展し、アメリカの首都ワシントンDCは同紙の“独裁”下で呻吟(しんぎん)する苦悩の首都”となった。

 ワシントン・ポストは輝かしい勝利を遂げた。現職大統領をホワイトハウスから追放するのに成功したのであるから、確かに「輝かしい勝利」と言えるだろう。だが同紙は、自分たちが世界赤化を狙う共産勢力の最大の協力者となったことに気付いていたのだろうか?ワシントン・ポストの別名を「プラウダ・オブ・ザ・ウェスト(Pravda of the West)」と言った。「プラウダ」はモスクワにあった旧ソ連共産党の機関紙である。要するに、ワシントン・ポストは事実上、西側にあるソ連の機関紙と化し、アメリカの国益を損ねたばかりか、自由世界に甚大な被害をもたらす一因となったのである。

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